■日本酒基礎講座(1)「特定名称酒について」

これから知っているようで知らなかった事や、今更聞けないような事を毎回テーマを決めてお話させて頂きます。

 

特定名称酒

第一回目は、皆さん言葉的には知っているけど説明するとなると自信が無いと思われる「特定名称酒」についてお話しいたします。

 

 

精米歩合

まず「特定名称酒」と言われると良く分からない方が多いと思いますが、これは「純米」とか「純米吟醸」とか「大吟醸」とか「本醸造」というお酒のグレードに関する名称の事で、まずはそれぞれの名前の整理からさせて頂きます。

 

使用原料→

↓精米歩合

米・米麹

※純米系

米・米麹・醸造アルコール

※アル添系

70%より大きい


純米酒

(普通酒)

70%以下

本醸造酒

60%以下

純米吟醸酒

吟醸酒

50%以下

純米大吟醸酒

大吟醸酒

精米歩合:酒米を削った割合で、残ったお米の重量歩合

以上の表の通り、精米歩合で「純米・本醸造」→「吟醸」→「大吟醸」とグレードが上がります。(表縦列の推移)

 

また、醸造用アルコールが入って「いる」か「いない」かで、「純米○○」と名乗れるかどうかが決まります。(表横列の区分)

 

概要としては以上なのですが、細かく規定されている事が色々とあり、表記を分かりにくくしています。

 

詳細規定()ある精米歩合のお酒が、実際の精米歩合よりも上のグレードを名乗るのはNGだが、下のグレードを名乗るのはOK!

例)精米歩合55%の純米系のお酒は、通常であれば「純米吟醸」と名乗る所、控えめに「純米」と名乗るのはOK、しかし「純米大吟醸」と名乗るのはNG

 

詳細規定()本醸造は精米歩合70%以下でないと名乗れないが、純米酒は平成15年に法改正され、精米歩合が何%でも、醸造アルコールを用いず、米・米麹のみで作らていれば、「純米酒」と名乗れるようになりました。

 

詳細規定()特定名称酒を作るには、原材料米に3等米以上の米を使用しなければいけない。

 

例)最近たまに、原材料は米・米麹のみで、ちゃんとした酒米を使用しているのに、「純米」という表記がされていないお酒を見かけます。これは、等外米(規格外の米)を使用している為に、特定名称である「純米」を名乗れないお酒である事が原因になっているケースがあります。

 

詳細規定()特定名称を名乗るには、麹米使用割合を15%以上にしなければならない。これは、麹が極端に少ないお酒は、特定名称酒に当たらないという概念です。通常の麹米割合は大体20%程度が標準です。

 

 

特別純米・特別本醸造

また、上記表に載せていない名称が存在します。

「特別純米」「特別本醸造」なのですが、この規定がいまいち曖昧で、分かりにくいものとなっています。

特別純米:精米歩合60%以下又は特別な製造方法(要説明表示)で造られた酒
特別本醸造:精米歩合60%以下又は特別な製造方法(要説明表示)で造られた酒

 

すなわち、純米吟醸や吟醸程度に磨いたお米で作るお酒か、もしくは、純米酒や本醸造酒とは明らかに違う、特別な製造方法で造られたお酒の事を言います。

 

アルコール添加

最後に、純米系かアル添系に分ける基準となる「醸造用アルコール」について、少しお話しておきます。醸造用アルコールは、穀物類=主に「とうもろこし」や「さとうきび(廃糖蜜)」から作られたアルコールです。ブラジルなどの海外で造られた原料アルコールを輸入し、国内大手メーカーが再度精製を行ったものを、各酒造メーカーが使用しています。一般的に、廃糖蜜から造られた醸造用アルコールよりも、とうもろこしから造られた醸造用アルコールの方が、精錬度が高く味への影響が少ないため、特定名称酒に添加する醸造用アルコールは、原料がとうもろこしの物が好んで用いられているようです。

また、特定名称酒には醸造用アルコールを添加して良い分量が規定されていて、使用する白米重量の10%以下に制限されています。

(普通酒は、醸造アルコール他その他の原料の重量比が、白米重量の50%以内(アルコール度95%換算))

 

 

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