■日本酒基礎講座(21)「酒母.2(速醸酒母概要)」

酒母.2

速醸酒母

今回から、現在の酒造業界において、一番一般的で主流となっている速醸酒母についてご説明いたします

  • 速醸酒母は、仕込み当初に必要な量の乳酸を加え、酒母を雑菌が生育しにくい乳酸酸性(pH4.2程度)として雑菌の増殖を防ぎながら、麹の酵素によって蒸米でんぷんを溶解・糖化させて糖分の蓄積をはかり、添加した優良酵母だけを純粋に培養する安全な酒母製造方法
  • 速醸酒母は、仕込み温度が18~20℃と比較的高温であるため、蒸米の溶解や糖化が早いž   とはいえ、酒母室の室温が低いために、速醸酒母の品温は低下し、翌日には最低値を迎える(二日目の打瀬時点)
  • 酵母の増殖が確認できるのは、6~8日目の「膨れ」と呼ばれるガスの発生であり、仕込み当初から1週間後である
  • まり、速醸酒母は、前半の1週間が糖化に徹する期間で、後半の1週間が酵母を健全かつ大量に増殖させる期間となる
  • 最後は、せっかく増やした酵母が死なないよう、7℃以下にして、5日以内に使用する

 

酒母の材料と仕込み配合

酒母の材料:蒸米・麹・酵母・水・(乳酸)

 

 

日本酒造りにおいて、「仕込み配合」あるいは「歩合」は極めて重要である

それは、米に対する水や麹などの配合比が直接的に香味に影響するだけでなく、発酵速度を大きく支配するからである

酒母の場合は、酵母を大量に増やすためのレシピとなる

酒母の総米(麹米+掛米:元の白米重量)は、普通酒・本醸造酒・濃醇な純米酒の場合、醪の総米の7%台が標準、吟醸と名の付く日本酒は5%台が標準

醪までの全体の総米を1500kgとし
・酒母の総米は1500×0.07=105kg
・酒母の麹歩合は通常33%であるので105×0.33≒35kg
・掛米は、105-35=70kg
・酒母に用いる水の量(汲水)は、速醸酒母の汲水歩合は110%なので105×110≒115l
・乳酸は、汲水100lあたり650~700mlが標準なので、650mlとすると650×115÷100≒750ml
※乳酸の量を議論する際は、汲水100l当たりのmlで会話する

こうして、速醸酒母の標準的な仕込み配合の例が出来上がる

 

 

※麹の量は、麹そのものの重さではなく、それに対する白米(麹米)換算の重さで会話・記帳する
※蒸米も同様に、蒸米そのものの重さではなく、それに対する白米(掛米)換算の重さで会話・記帳する

 

 

※こちらもご覧ください!動画でご説明しております!

★酒chいし井講座第13回 速醸酒母概要 酒母②【酒chいし井のSAKE DIPLOMA的日本酒講座】

 

 

 

タイトルとURLをコピーしました