■日本酒基礎講座(20)「酒母.1 (酒母造り概要・酒母の種類・種類毎のシェア)」

酒母.1

 

前回までは、麹と製麹についてご説明してきました

今回から、次の工程で、日本酒製造で二番目に重要とされる(一麹・二酛・三造り、の二番目にあたる酛)酒母造りについて13回に 渡りお送り致します

 

酒母の概要

「酒母」第一回目の今回は、酒母の概要(酒母とは何か?)と、酒母の種類・種類ごとのシェアについてご説明いたします

 

酒母とは

  • 「酒母」とは、元気な酵母を健全に、実質純粋に、大量に培養する工程
  • 醪を酸性に保つために必要な乳酸を適量含むことも酒母の重要な要件となっている

 

「酒母」と「醪」は似て非なるもの⇒どちらも、米・米麹・水を混ぜて糖化・発酵させるが、酒母が強い酸味や苦みがあるのに対し、醪は最終的に飲用の場を想定して香味を整えるもの

 

酒母と醪の末期のデータの違い

麹歩合などの配合レシピも異なる

 

麹歩合

  • 酒母 33%程度
  • 醪 20~22%程度
※酒母は酵母の増殖を第一義にしているので、酵母の餌となるブドウ糖を生成する「アミラーゼ系酵素」量をしっかりと得る為と、酵母の増殖を促進する「ミネラル・ビタミン」などを供給する為に、酒母では麹配合量を多くする

 

酒母室

大半の酒蔵は酒母室と言う独立した部屋を所有している

乾燥した清潔な部屋・理想的な室温4~5℃(酒母の品温経過で10℃以下にすべき期間がある為=酒母二日目の打瀬)

 

酒母造りのポイント

酒母造りは開放状態で行われるので、野生酵母や乳酸菌など他の微生物をいかに淘汰して添加する、優良な日本酒酵母だけを数多く純粋に力強く育てるかに尽きる

 

酒母の製造方法

乳酸菌をどのように得るか?によって

  • 乳酸発酵を行わせる「生酛系酒母(生酛酒母・山廃(山卸廃止)酒母)」
  • 乳酸を添加する「速醸系酒母(速醸酒母・高温糖化酒母)」

 に大きく分けられる

 

以前微生物の回で日本酒のpHは4.2程度と説明したが、他の雑菌や乳酸菌・野生酵母を抑え込む(増殖させない)ために、日本酒の酒母・醪は酸性を保たなければならない

その酸性を得る為の物が「乳酸」であり、人工的に作られた乳酸を加えるのが、速醸系酒母(速醸酒母・高温糖化酒母)、乳酸菌の力を借りて乳酸酸性の環境を作り上げるのが、生酛系酒母(生酛酒母・山廃(山卸廃止)酒母である

このように、乳酸酸性にする事により、他の有害微生物(野生酵母や乳酸菌など)を抑え込む事により腐造を防ぐノウハウがある

 

酒母のシェア

現在の酒母のシェア

  • 速醸系:約90% 
  • 山廃酛:約9% 
  • 生酛約1%

となっている

 

速醸系酒母のシェアが圧倒的で、殆どの酒蔵が速醸主体で造っている状況だが、より豊かで複雑みのある香味を求めて生酛系酒母に取り組み始めている酒蔵は近年少しずつ目立ってきている

 

 

※こちらもご覧ください!動画でご説明しております!

★酒chいし井講座第12回 酒母の概要 酒母①【酒chいし井のSAKE DIPLOMA的日本酒講座】

 

 

 

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