酒母.5
前回に続き、速醸酒母の育成工程の最後の大詰めとなる9日目以降をご説明します
速醸酒母の育成工程9~12日目
涌付き休み
- 酵母の増殖が盛んになった酵母の発熱により、加温操作を休めるようになった時期を「沸付き休み」という
- 酒母の品温経過で、最高温度に3日間維持される期間をさす
- 酒母の全面が泡あり酵母で本泡状態になり、酵母の増殖・発酵が最も旺盛になる時期である
- 最高温度は酵母によるが、20~22℃を維持する必要あり、25℃以上では酵母が死滅する危険性があるので要注意!
- よい香気が感じられるが、酸味や苦みや渋みが増していく
速醸酒母の育成工程10~13日目
分け
- 涌付き休みの間に酵母は旺盛な増殖発酵を行うので、その結果としてアルコール分及び酸度が高くなる
- 涌付き休み末期には、そのような成分&高温であるため、酵母にとっては生育しにくい環境となる
- そのまま高温を維持すれば、酵母が衰弱を始めるので、品温を下げて酵母が生存しやすくすることを「分け(酛分け)」という
- 氷の無かった昔は、品温を下げるのに、半切りに酒母を分けたので、この名で呼ばれる
- 官能的には、甘みが薄らぎ、わずかに辛味を生じた甘酸渋味を感じる時を「分け操作」の目標とする
- 当然酵母密度は確実に最高値になっていなくてはならない
- 現在は、冷管と呼ばれる、アルミニウム製で中に氷を入れた長い筒状のものを酒母に数本入れる
速醸酒母の育成工程14日目以降
酒母の枯らし
- 酛分けから酒母を醪に使用するまでの期間を「酒母の枯らし」という
- 酛分け操作後は、できるだけ急速に品温を下げ、3日後には約10℃、それ以降は7℃以下で「枯らす」ことが必要である
- 冷管を使っても、品温を下げるのに日数を要するのは、酵母数が最大かつ活発であるために、盛んに発熱している為である
- 7℃というのは、酵母をおとなしくさせるための温度である
- 酒母の枯らしをいたずらに長引かせることは、酵母を衰弱させ死滅を招く為、酵母の枯らし期間は、作業上のバッファも考慮し、5~7日間が適当である
- こうして、日本酒用酵母を純粋かつ大量に培養した元気な速醸酒母の完成である
※こちらもご覧ください!動画でご説明しております!
★酒chいし井講座第16回 速醸酒母の育成工程(3) 酒母⑤【酒chいし井のSAKE DIPLOMA的日本酒講座】