製麹.2
今回の日本酒基礎講座は、前回の続きで麹造り「製麹」の「盛り」の作業の詳細説明から
盛り(続き)
盛りを行う容器にはいくつもの種類があります
1.伝統的な小ぶりな重箱様の「蓋」
2.長さ1m位の大型のすのこ状の「箱」
3.寝床状のさらに大型な「床」
4.自動で温度管理をしてくれる「半自動製麹機」
5.自動で製麹が出来る「全自動製麹機」
6.四国でよく見られる「たらい」
など、色々な種類・方法がある
箱製麹
ここからは一般的である箱製麹についてご説明します(それぞれの詳細な形状・方法は次回ご説明します)
- 盛りは、麹箱の底のスノコの上に布を敷き、バラバラにした麹を一定量ずつ盛る
- 発熱が比較的小さい為、表面積を小さく熱を内部に籠らせるように6~8cmの層になるよう厚めに盛る、乾燥と品温低下防止のために箱の上に通気性が適度な布を掛ける
製麹の温度経過
- 麹菌は暖かい所で生育旺盛であるが、45℃に達した所で、生育が止まってしまう
- 温度管理が大事で、麹の第一の目的は、ブドウ糖を得る為の酵素-グルコアミラーゼ-を沢山作らせる事
- グルコアミラーゼは、麹の最高温度40~43℃で一番生成され、酸性カルボキシペプチダーゼは35℃あたりで最も多く生成される
- アミノ酸はうまみ成分なので、多すぎると味が濃くなりすぎたり、くどくなったりするので、多くの酒蔵では、アミノ酸を造る酸性カルボキシペプチダーゼは少なめにしたい
- そこで、酵素のバランスを酵母の餌となるブドウ糖が沢山作れ、アミノ酸生成が少ない麹にする = グルコアミラーゼが多く酸性カルボキシペプチダーゼが少ない麹にするために、35℃を早く通過して、最高温度(40℃~43℃)へもっていき、最高温度の持続時間を長くする
仲仕事
2日目の麹室での真ん中の作業の意味
- 盛りから6~10時間後、品温は34~36℃に上昇している頃に行う作業
- 麹米の表面に菌体が目に見えるようになってきている
- 全体を混ぜ合わせて温度を均一にする
- 発熱が旺盛になりつつあるので、麹の積層を少し広げる
仕舞仕事
今日のおしまいの仕事の意味で、仲仕事後6~7時間・品温38~39℃位、麹特有の栗香(栗の花の香り)を感じるようになり、噛めば甘味が出てくるようになった頃に行う作業
- 手入れにより温度を36~38℃位に調整し、麹の積層を4~5cmにする
- 箱全体に麹を広げた形となる
- 発熱が盛んになり始めたので、品温操作は熱を逃がす工夫をする
- 麹積層の厚さが1㎝違っても、その後の水分経過・品温・酵素活性などが大きく違ってくる
- 仕舞仕事の数時間後、麹は最高温度の40~43℃を迎え、品温は一定する
- 品温に問題が無い限り、手入れ操作は必要ない
- 温度を一定にさせる為に、麹屋(製麹担当者)は工夫と判断をする
※こちらもご覧ください!動画でご説明しております!
★酒chいし井講座第十回 製麹の概要と製麹手順 後編 製麹②【酒chいし井のSAKE DIPLOMA的日本酒講座】